我が鳴き竜よ、深く静かに眠れ。2011/05/25

我が鳴き竜よ、深く静かに眠れ。
火の用心に熱心なこの町内も、
高齢化の波には勝てなかったようだ。
 
先日回って来た回覧板によると、
今後、火の用心の夜回りは廃止することになった。
どうやら町内の高齢化によって、
各家庭に負担がかかり過ぎ、
これ以上維持できなくなったらしい。
 
確かにこの町内の平均年齢の高さは群を抜いている。
運動会は町内会対抗で行われているのだが、
昨年も一昨年もその事を痛感した。
なにしろ私がむしろ若手に入るくらいだから
後は推して知るべしなのである。
 
50日くらいに一度は我が家にも夜回りの順番が回って来ていた。
行われている間は、「またか」「回って来るの早くね?」「面倒くさいなあ」くらいに思っていたのが、
いざ廃止となってしまうと、寂しいと感じてしまうのだから勝手なものだ。
 
というのも、夜回りルートの途中に小学校の校舎と住宅に挟まれた道があって、
ここで、いわゆる「鳴き竜」が聴けたのだ。
 
日光東照宮の薬師堂などで聴くことができる鳴き竜は、フラッター・エコー現象の代表的な例である。
もっとも、我が町内の竜は日光の鈴鳴きと称されるような上品な竜ではない。
飼いならされていない、いわば「野良竜」のような鳴き声である。
 
火の用心の拍子木を、その僅か数メートルの範囲で打つと、ビリビリとした鳴き声が響き渡る。
あの音が聴けないとなると俄然寂しくなってきたのだ。
 
いっそ個人的にボランティアで火の用心の夜回りを続けてみようかなどと考えてみた。
おお、そうすれば毎晩あの音が聴けるではないか。
しかし近所の人間にとっては今まで耳障りなだけだったのやも知れず、
廃止になった筈なのに、誰だ!竜を起こした奴は!となりかねない。
 
火の用心の夜回りという善行なのだから良いではないかとは言えまい。
前回、善は微に入り細にわたって行わねばならないと書いたばかりではないか。
しかも私の場合は善行はただの隠れ蓑で、鳴き竜が聴きたいというのが本音なのだから質が悪い。
 
やはり我が野良鳴き竜には深く静かに眠ってもらおう。
最近やたら家族に勧められる私のアンチエイジングが成功して、町内の若返りに貢献する日まで。
 

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