有名と無名のあいだに横たわる深い深い闇2015/08/22

有名と無名のあいだに横たわる深い深い闇
さて、例によって1年ぶりにもかかわらず、
何食わぬ顔で更新してみる。
 
毎回オリンピックの時期になると
そのデザイン関係の話を書いてきた。
しかし今回の東京オリンピックのロゴは
発表時からあれこれ騒がれたので、
書こうかどうしようか迷っていたのだが、
やはりなんらかの所感を書いておくべきだろう。
 
今回の作品においてパクリ・盗作問題が
取りざたされていることについては、
以前、井伏鱒二の盗作について触れた
「一日一冊」の記事を読んだ際に、
当ブログのエントリーに記したように、
本来的には微妙な問題を含んでいる。
つまりデザインの基本的な要素、形や配色といったものは、自ずと限られており、
手法の類似は多少やむを得ない側面があるのだ。本来は。
 
ところが、これまでのこのデザイナー氏の別の作品についてもネット上であれこれ指摘があったように、
剽窃、素材の無断使用がいくつも疑われている。
本人はオリンピックのロゴに関しては否定しているが、こうなるとかなり怪しい。
ベルギーの劇場は頭文字の「T」と「L」のローマン体を表現していると納得できるのだが、
今回のロゴは左上のTのセリフ部分はともかく、右下の「L」のセリフのような部分が意味不明だ。
全体で円を構成しているとしているが、無理があるように思える。
 
そもそも日本で行われるイベントに、なぜ頭文字のアルファベットを要素の中心に据えるのか。
全体に地味な印象で、とても国際的な華やかなイベントを連想できない。
それどころかスポーツの祭典とも、日本で行われるイベントとも表現がほとんどできていない。
へたすりゃ近所の葬儀屋の新しいマークだと言われりゃそうかもと思える出来である。
 
本人の解説によると、あらゆる色を混ぜると最終的には黒になることから、
黒の棒で多様性を表しているとしているが、どこの世界に黒い色を見て多様性を感じる者がいるのか。
私もデザイナーなので、ついやりそうになるからまあ分かるのだが、これは明らかに後付けである。
多様性を表現しようという発想が先にあったのではなく、制作してしまってから、
その意味を込められると言えば、プレゼン的にアピールできるのではないかと考えたからと思われる。
 
ただし、盗作は論外だが作品の不出来はデザイナーのその作品における評価に過ぎず、
今回の問題の本質は、幾つもの作品の中から選定委員会がどのような経緯で最終的に決めたのか、
その辺りがどうも不透明で怪しく、徹底的に明らかにされるべきであろう。
 
今回の東京オリンピックでは、国立競技場をアンビルドの女王に依頼してしまった顛末にしろ、
学生がふざけて作ったのかと思われるような、
これ以上ダサくできそうもない東京観光ボランティアのユニフォームにしろ、問題噴出である。
特にユニフォームは日の丸をこれ以上矮小化・陳腐化できないのでないかというほどの扱いで、
全体で見れば、東京はむろん日本を全く感じさせず、韓国のユニフォームかと思うほどである。
 
東京オリンピックの組織委員会の皆様、もろもろ見直すなら今ですぞ。
国際的なデザインの賞にかすりもしない私に仕事が回ってくるはずもないが、是非とも私に依頼を。
すごい腹案があるんですがね。競技場イメージにも、開会式のシンボルにも繋がりうるすんごいのが。
これで国際的な名誉は一気に回復ですぜ。・・・という夢を見た。
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ノープラン、ノーコンセプトで綴る、
モノクローム・モノローグ。

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