月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。2009/05/02

月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。
以前ここでも少し触れた、
筒井康隆氏のブログ「笑犬楼大通り」の、
4月24日の日碌をご覧になっただろうか。
 
「時をかける少女」が映画化になるという。
映像化はいったい何度目になるのだろう。
 
しかし私が気に留めたのはその事ではなく、
アニメのプロデューサーに、
「旅のラゴス」を推薦したというくだりである。
 
実に懐かしい題名を聞いた。しかも氏の文章で。
最初に読んでから、ずいぶん経つのだが、
何度も繰り返し読んだ、
私が最も好きな作品の一つである。
 
この連作短編集の体裁をとった物語は、
スラップスティック、ブラックなどと言われる氏の作品群の中にあっては、かなり異彩を放っている。
そこにあるのは壮大で、生き生きとした物語世界である。
 
波乱に満ちた旅を続ける主人公ラゴスの青年期から老年に至るまでを描いている。
作品発表当時にはあまり一般的ではなかったロールプレイングゲームの様でもあり、
当否はともかく、6年後に発売されたドラクエVとの類似性が指摘された事もある。
 
この作品が映像化されるのであれば、是非観てみたいと思っていた。
何だったら、そんな力はないのだが自分で映像化したいとさえ考えていたのだ。
 
実写ならば、それこそ「ロード・オブ・ザ・リング」のごとく、
莫大な制作費を投入して、ニュージーランドロケなどでも行わなければ雰囲気が出ないだろう。
アニメであれば映像化は可能だろうが、やや淡々とした作品になってしまわないか心配である。
 
テレビアニメなら、今時せいぜい深夜かBSか。とても高視聴率は望めず、制作費が出るかどうか。
劇場用ならどのような切り口にするか、そこが大きなポイントになるだろう。
OVAのシリーズなどでなければ、全てのエピソードを丁寧に描くのはまず無理だからである。
 
初めてこの作品を読んでから私も歳を重ねた。
ラゴスに置き換えて「ほほう、あの頃か…」などとニヤニヤしてしてみたり。
さて、私の年齢が分かった人は相当読み込んでますな。
 

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